男の化粧




a男の化粧

「おまえな、広極を覚えているだろう」
「当たり前だ。元広島人だぞ。本通りの北側が広極よ」
「あそこには写真館に貸衣裳屋にパチンコ屋があったんだ」
「ふむ、まだ惚けてはおらんな。じやそこのストリップ劇場は?」
「あったな、裸のお姉さんの看板があってずっと見ていた」
「それなら祭りにはそこで化粧してもらったことは?」
「思い出した。楽屋で白塗りして口紅をひいてもらったな」
「やっぱりな」
「ねえ、ねえ、君たち興味深い話をしているねー」
「これはわしら同郷人の話だ、邪魔をするな」
「いいじゃないの、そのお姉さんは例えばどんな・・・」
「聞きたいか、そうだなー、ブリジットバルドーかソフィアローレン
みたいにボーン、ボンだったな」
「キャハー君たちはいい思い出を持っているねー」
「さあーてと、お前自分の顔の事をどう思う?」
「えーっ、今までのは前振りかい・・・」
「人は自分の顔に責任を持たんといかんのだぞ」
「そりゃあこのつくりだから若い時は気にしたが・・・」
「顔はその人間の歴史を語るんだぞ」
「へえー」
「若い頃いやらしいと云われたお前のそのちっこい目もいまや」
「今や・・・・?」
「周りの皴に囲まれてダメージは薄れ」
「ほうほう・・・彫りが深くなったとか・・・」
「いや、それなりの爺の顔になっている」
「くそー、云いやがったなー」
「だから今からでも遅くない、化粧を勧める」
「化粧・・・・?」
「わしは子供の頃にあの楽屋で化粧をしてもらった事を忘れず」
「忘れず…?」
「ずっと化粧を続けておる」
「嘘だー・・・その顔でー化粧をしているってー」
「駄目か、ここまで長い話をしてやったのに」
「引っ掛かるかい」

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プロフィール

シンとケイ

Author:シンとケイ
年寄ゴジラへようこそ!
年年歳歳花相似
歳歳年年人不同ということ
で残り時間を有効に
とばかり夫婦揃って好きな
事をして過ごしています。
家内は手芸、リメイク、旅行
私は水彩画、ウォーキング、
自炊.それと
オリジナル小説作成等を
やっています。
どうぞよろしくお願い
いたします。

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